Voice

120.誰かの願いが叶うころ  121.Ziggy Stardust  122〜
117.Keira 118.悲恋 119.No more
    116.拒絶 
102〜111    

戻るときはブラウザの戻るボタンで。

 

Ziggy Stardust

「他人の 自分に対するイメージに酔うことは賢明ではない」
David Bowie 氏が昨夜、こう仰いました
「他人の中の自分が恐い?」
是も誰かの台詞
ヒトは自分の中で他者を創り上げて行くところが有るように思う
“良く”も“悪く”も自己に都合よく
狭い世界の狭い自己の中で
持て囃されたり 貶されたり

「他人と違う事をしたい」
と云う男がいた
“他人と違う”事を意識するのは 常に他人を見ているって事じゃないかな?
ヒトが生まれ出でてから数千年(万?億?)
既に確立されたジャンルの中で
誰一人考えつかなかった事なんて もうどれくらい有るのだろう?
全く無いわけじゃないだろうさ
だけど ヒックリ返してやろうなんて考えてるわけじゃないんだろ?
“他者との差別化”はヒトの尊厳欲求の1つかな?
悪い事では全く無いんだろうけど
“自己の確立”に其処から入るのは結果が同じでも どうかと思う
良し悪しじゃなくて 自分を追い詰めたり 見失わせる事のほうが多いんじゃないかな?

Bowie 氏は20〜25歳の頃はそう思えなかった事を
今は楽しんでいるとも仰ってました

自分を楽しませるのも
幸せにするのも
不幸せにするのも
全て自分だけ
もし “他人が自分を幸せに 又は不幸せにする” と思うなら
“他人の中の自分”を見すぎているのかも知れない
例えば狭い世界の狭い他者の中で創られた自分を

「結果は遠い未来に歴史として語られる」
これは大好きな物語の中の言葉

物事は1つの側面で全てを語られるべきではなく
狭い世界の狭い他者の中で定められるものでもなく
今が全てでもない

 

 

誰かの願いが叶うころ/宇多田ヒカル

小さな事で大事なものを失った
冷たい指輪が私に光ってみせた
「今さえあればいい」と言ったけど そうじゃなかった
あなたへ続くドアが音も無く消えた

あなたの幸せ願うほどわがままが増えてくよ
それでもあなたを引き止めたい いつだってそう
誰かの願いが叶うころ あの子が泣いてるよ
そのまま扉の音はならない

みんなに必要とされる君を癒せる
たった一人になりたくて少し我慢し過ぎたかな
自分の幸せ願うこと わがままではないでしょ
それならあなたを抱き寄せたい できるだけぎゅと

私の涙が乾く頃あの子が泣いてるよ
このまま僕らの地面は渇かない
あなたの幸せ願うほど わがままが増えてくよ
あなたは私を引き止めない いつだってそう

誰かの願いが叶う頃 あの子が泣いてるよ
みんなの願いは同時には叶わない
小さな地球が回るほど 優しさが身につくよ
もう一度あなたを抱き締めたい できるだけそっと

-------------------------------------------------

CASSHERNは見ていない
幼い頃に見たキャシャーンの記憶と この曲が重なると
何故だか涙が零れる

「皆の願いは同時には叶わない」

一人の願いは全ては叶わない

「誰かの願いが叶うころ あの子が泣いてるよ」

たとえば何処かで
侵略戦争に打ち勝った歓喜の中で
恋人が帰らぬ人となったと知ったなら・・・
幾つかの犠牲の上に成り立つ幸せ
もう二度と目を開けることの無い
恋人の亡骸を抱きかかえ
無数の遺体を覆う残骸の上に立ち
「何が正義か」と泣き叫ぶ
たった一人さえ守れない
ささやかな願いさえも叶わない

誰かの願いを叶える為に
他の誰かの何かを犠牲にしている?
誰かにとっての都合の良い事は
他の誰かにとって とても都合の悪い事かもしれない
どんな立場にいるかによって
それぞれに都合があり
それぞれに正義がある

 

 

No more

何処にも有りはしない
そんな言葉を繰り返していた
欲しいモノも 辿り着きたい処も 在りたい自分も

 

 

悲恋

英雄(HERO)をこれから見ようと思う人は読まぬように

中国大陸の映画は悲恋物語が多いな
あの時、彼が剣を引くのは容易に想像できた
仲違いをしたまま3年、そしてまた...
これ以上続くくらいなら... きっと私でも剣を引いただろう
残される人... それを考えるとなんて独り善がりなことだろうか

引きずっている事を自分に納得のいく言葉で片付けるなんて

 

 

Keira

テレビを見ていたらCMに Keira Knightley が出演していた
蝶も見た「パイレーツ オブ カリビアン」 の主演女優なので知っていると思い・・・
た:「キーラ・ナイトリーだ!」
蝶:「キーラ・ナイトリー?」
た:「うん」
蝶:「何処!?」
た:「ほら」 と画面を指差す
蝶:「??? 毛が無い鳥でしょ?」
た:「(爆) キーラ・ナイトリーだよ パイレーツ オブ カリビアンの主演女優」
蝶:「毛が無い鳥? って訊いたら “うん” って云ったよ」
た:「・・・キーラ・ナイトリー? って聴こえた・・・」

“毛が無い鳥”って・・・
聞き違いというか勘違いネタをもう1つ
私が暫く思い込んでいたのが
「薬剤師」 は 「ヤクザ医師」だと思っていた
専門の医者か、医師免許を持った人なんだと・・・

 

 

拒絶 

独り寝は淋しいだろうから ふたりなら夜も暖かいだろうから
そんな蝶の願いから 私達の家にもう一羽の文鳥を連れてきた
ちょっぱー(命名:蝶)はちょびよりも一回り小柄なオンナノコ(多分)
ちょびを一旦籠から出して ちょっぱーを籠の中へ
同じペットショップの同じ籠の中にいたコ達だから きっと上手くやれる
そう思いながらも
・後から来たコを先にいたコが虐める とか
・鳥同士で遊ぶのが楽しくて二羽とも人に懐かなくなる とか
そんな情報に気を揉む

そんな私の気を他所に ふたりは呼び合い、互いの行動を真似、
仲睦まじいとさえ思えた
翌朝、籠の中を覗いて見ると ちょびは左足をちょっぱーの右足に乗せ、並んで眠っていた
蝶と私は「よかった」と胸を撫で下ろした…

其の日の昼、蝶からちょびがちょっぱーに意地悪するとメールが入った
餌場を独り占めし、滅多にしない水浴びをして水を撒き散らし
ちょっぱーが近づくと威嚇牽制するらしい
ちょっぱーは所在無く、切なげだという
それでも、ちょっぱーだけ出してあげても籠に入りたがるらしい
私は帰ってから相談しようと話し、思案を巡らしていた

帰ってこの目で見たふたりは “暴力夫と耐える妻”という趣
ちょっぱーが餌場に居ればちょびが飛んで来る ちょっぱーは上の止まり木に逃げる
ちょびが上の止まり木に戻れば ちょっぱーは下の止まり木へ
…嫌がらせだね…
あきれた私はちょびを掴んで籠の外へ
両の掌で包んで話し掛けた
何が不満? どうして欲しい?
私や蝶を 餌や鳥篭を 独り占めしたい?
そしてこんな話を思い出した

一緒に居る相手にもっとこうして欲しいとか 何故こうしてくれないのか
などと不平不満をぶつける
相手は「悪かった」と改めようとしたとする
それでも事有るごとに 自分の意に沿わないとか 配慮に欠けるとか云い続けているうちに
相手は自分を疎ましく思い 離れてゆく
一緒に居たい 大事にして欲しいと思うのなら
要求などせずに“一緒に居ると楽しい 幸せだ”と伝えることだ
其れは言葉で無くて良い
相手がいつも笑顔で接してくれれば永く一緒に居たいだろう
不機嫌で辛辣な態度で接してくる人は避けたくなるだろう
という話…

食事の間、ちょびを籠に戻すことも 部屋に放すことも成らぬと考え
空いている金魚鉢に隔離した
其れはもう二度と私に、いや人に懐かなくなるかもしれない
ストレスで死んでしまうかも知れないという危険を含んでいた
ちょびの居なくなった鳥篭で
ちょっぱーは上段の止まり木の真中でやっと落ち着いたようだった

食後、ちょびを部屋に放した
けれども籠は閉めたまま 中に入ることは赦さなかった
食べたいけれど食べられない
自分の寝床のはずが入れない
其処には自分で無い者がいて
餌を食べ 水を飲んでいる
“此処は自分の場所ではないのか?”
ちょびはそんな思いに胸をいためたろうか…
おまえのしたことを ヒトにされているんだよ
其れが狙いだけれど、小鳥に通用するものか?

ちょっぱーは籠にしがみ付くちょびに近寄っていく
今のちょびは突付いたり等していない
それならと ちょっぱーを籠から出してみた
それでも籠は閉じておいて
ふたりとも籠には戻れないようにして…
ちょっぱーはちょびの後を追う
突付かれても 何をされても 後をついて飛ぶ
ちょびはただ籠に執着している

肩に乗ったちょびを追いかけてちょっぱーが背中にとまった
ちょびはちょっぱーを追い払う
私は其の時点でちょびを払い退ける
何度も其れを繰り返した
ちょっぱーを突付こうものなら 私もちょびを突付く真似をした

ちょびは頭頂部の羽を立てて威厳を見せ付けるかのような態度
それでも 何をされても ちょっぱーはちょびの後を追う
姿が見えなくなれば呼ぶ
ちょびが飛び上がれば ちょっぱーも飛び上がって後を追う
今度はこんな話を思い出した

「道を歩いていたら犬がついてきた
 ただついてくるだけなら何とも思わないが、その犬を蹴って追い払おうとしてもなお
 ついてくるのなら、本当に好かれているのだろうと情が湧く…」
わざと他人を拒絶して試す人は、まさにそういう態度こそが嫌われる
本当に犬を蹴れば 噛みつかれるか 逃げて二度と寄って来はしない
まして人は簡単に忘れたり 赦したりはしてくれないだろう
という話…

そのうちに ちょびは ちょっぱーを追い払わなく成りだした
ちょびから近付くことも多くなった
肩や背中に乗るときも

もう夜も遅くなった頃
蝶と話し合って ふたりを籠に戻す事にした
まず、ちょっぱーが籠に入ったが ちょびが入らない
そのうち、部屋を飛び回るちょびを見てちょっぱーが籠を飛び出した
やっとのことふたりを籠に戻す
ちょびはまだ餌を食べるちょっぱーを押し付けたり 幅をとって食べに来られないようにしている
ちょびが餌箱に浸かって食べ始めたとき
私はちょびを突付く真似をした
逃げるちょび
数回其れを繰り返して
ふたりは仲良く並んで餌を食べるようになった
時折ちょっぱーが邪魔なちょびの尾を軽く突付く
其れは人が相手の体を突付いてこちらを向かせる仕草の様でもある
ちょびは怒ることなく横を空ける

こうしてふたりはお互いを受け入れた…のかな?
夜が明ければまた前日のふたりに戻ってしまうかもしれない
でも今度は ちょっぱーはもう ちょびの後を追わないかもしれないよ
彼が人語を解するなら そう ちょびに云ってやりたかった